小学生の時、初恋の味はカルピスだと大人の会話から知りました。その時、初めての次はどんな味?・・と疑問を持った事を今でも覚えています。
「味」というニュアンス=舌で感じるものだと認識していた当時の私には理解できなかったのです。
テレビドラマ、「奥様は魔女」で俳優の二人がキスをするのを見て、「あれの事か?」とも思いました。
けれど、どうみても自分の口からカルピスの味は出ないと思い、クラスメートと議論したしました。
高校生の兄を持つクラスメートの話では、「大人になれば解る」・・・のが結論だったように思います。
当時はなにせガキですから、他にも学校帰りにある秘密基地のほうが大事で、うやむやになってしまいました。
振り返ると、小学生の疑問についての答えは「大人になれば解る」がやたら多かったように思います。
もちろん、今でも謎のままで放置された疑問も沢山あるのですが。
中学生の頃、ラジオの深夜番組で落合恵子さんが人気でした。、当時は「レモンちゃん」と言われていました。
ラジオであり、どんなお顔か・・なんて、気になっていたものの、雑誌の写真を見て、「見なければ良かった」と現実を知る良いきっかけにもなりました。
誤解されると困るのですが、中学生の妄想に出てくる女性とは、漫画の中に出てくる女性で、人間ではちょっと物足りないのです。もしかすると、今の若い人にとっての2次元の彼女の先駆けかもしれません。
実は、当時の初恋の味は「レモンの味」という事で、クラスメートの中で話題になり、私は、また「味」か思った記憶があります。
また、クラスメートも「味」に引っかかり、「最初のキスはきっと、レモンの味がするのではないか?」という事で結論になったように思います。
小学生から少し歳を重ねた私は「胃液の味」と理解しました。「たぶん、最初なので、緊張して胃液が出るのだろう・・と。それで酸っぱいのだろう・・」
但し、私の「初恋の味」=「レモンの味」=「胃液の味」は、クラスの中では不評でした。
今になってみると、「胃液の味」はなかなか、奥があって、深いなと自画自賛しておりますが。
高校生になると、まさに、大人の男女のような人種と、相変わらず、私のような、子犬が戯れるような人種に分かれ、子犬派は、大人に対し、疎外感さえ抱き、この手の話は、本当は関心あるのだけれど、ないようなそぶりをするようになって、わざわざ初恋について議論する事はなくなりました。
本当は議論の相手が、初恋を知ったからでしょうね。
議論する相手がいなくなれば、それは「本」「映画」の世界で垣間見る事となります。
当時の私は、通学路である渋谷をブラブラする事が多く・・・今の若い人の感覚のブラブラとはたぶん、違うと思います。そんな華やかものでは無かったと思います。
格好つけて、道玄坂界隈のジャズ喫茶で、まずいコーヒーを時間をかけて飲む・・・又は、東急文化会館の映画でした。200円程度でいわゆるだし汁のような名作映画を見る事ができました。
コーヒー飲むか、映画見るか・・まあ、映画かな・・そんな時代です。
ところで、「だし汁のような映画」というのは、話の内容の最初から最後まで理解しても、また見てしまった・・そんな名作という意味です。
名作の中には、様々な初恋や大人の恋愛があり、舌で感じる「味」ではない事が私にも理解できるようになりました。
ただし、これも所詮は錯覚であったと、後になって知るのですが・・